思索録

頭からこぼれ落ちてなくなってしまう前に。

熱帯夜

どの季節にも、素敵な時間帯ってあるよね。

春の昼下がり、秋の夕暮れ、冬の早朝、みたいな。


季節でいうと一番好きなのは秋かな。赤や黄色の葉っぱと金色の木漏れ日と…。

原色に薄い薄いセピアのフィルターをかけたみたいな色が好きなんだけれど、秋は世界が全部そういう色で覆われるから。




さて。最近猛暑つづきだし、もうすぐ夏本番がやってくるけれど、夏は夜が最高だと思う。

夏の湿度には嫌気がさすけど、夕方や夜はそれが心地よくなる、そんな気がします。



夏の夜が好きな理由は、涼しいけれど湿った夜風。

においも、感触も、湿気でぼやける遠くの景色も、非日常で現実離れしている気がして。

ビーチサンダルでコンビニに行ってアイスを買いたくなるし、お風呂上がりに窓辺で懐かしい人に連絡してみたくなる。

魔法みたい。



そして、お祭りの日の夏の夜風は格別だ。

ソースの安っぽい香りが、窓を開け放した家の中にまで充満する。

遠くから太鼓の音と、小さい子の笑い声が聞こえてくる。

暗くなっても静まることのない、一日だけの不思議な夜。
ゆったりした時間なのに、ワクワクする。


そうそう。わたしの言う「お祭り」は地元にあるような小さなもののこと。
屋台が5個くらいしかないような。


人混みが苦手だから、大きい花火大会とかのお祭りは、実はあんまり好きじゃない。

人に遮られて風も通らないし、疲れちゃう。


わたしにとってのお祭りは、太鼓のやぐらとレモン味のかき氷、焼きそばを慣れない手付きで作る父、そしてヨーヨー釣り。それだけ。




そうだ。一人暮らしだったら夏の夜はどんなに楽しいだろう、って最近ずっと妄想してるんだ。

近くの友達の家に行きたい。
適当な格好で、ビニール袋に入った缶のお酒を持っていって。一緒にDVDとか観て夜ふかしするの。

途中でコンビニに食べ物や飲み物を買い足しに行って、気づいたら寝てて。

11時くらいにヤバヤバ言いながら起きて、ご飯を食べて、自分の家に戻る。


素敵だなあ。やってみたい。


実家暮らしでもお友達の家には泊まれるけど、近くに自分の家があって何でもすぐに取りに戻れる、みたいなのがいいんだ〜。

大人に怒られたりしないし。



今一人暮らしをしてて、近所にお友達が住んでるっていう幸運な人たちは、夏の夜を本気でエンジョイしてほしい、わたしの分まで。



ではでは。



いさ